41 2000.11.25-26 ★★ 北奥千丈岳、国師ヶ岳、金峰山  ★★
                (2,601M、2,591M、2,599M)
2000年11月25日(土)26日(日)


今年(2000年)の11月は、連休が2度有る。
一つは、3日(金)「文化の日」から3連休。
そして23日(木)「勤労感謝の日」の飛び石連休。
3日からの3連休は、暮れの初雪山山行に備えた山行。
「八ヶ岳」無雪期山行に出掛けた。
翌週末は、近場の低山「三峰神社・妙法ヶ岳」紅葉狩りに行った。
そして、第3週末は、浦和南山の会の11月度山行。
「瑞牆山」に登り、増富温泉の民宿で一泊した。
飛び石連休の23日には「雲取山」に出掛けた。
最後の週末の今回が「金峰山と北奥千丈岳・国師ヶ岳」である。
まさに山に始まり、山に終わった月となった。
今回の金峰山は、出来れば「瑞牆」の時に済ませたかった。
山の会の計画作成時も1日目瑞牆山荘から「金峰山」を往復。
2日目に「瑞牆山」を往復するものだった。
が、宿泊を富士見平小屋・素泊まり計画のため、皆に却下された。
とにかく、年内に一度「金峰山」を済ましておかなくてはならない。
それも、長野側の廻り目平からのアプローチ。
此は、積雪時に登る計画を達成するため、必須条件である。

24日(金)の夜出発予定だったが、翌日になる。
25日(土)は、快晴であった。
自宅を出発したのが九時過ぎだったか?
早く出発すべき所、一人山行の為、つい遅くなってしまう。
川越ICから関越に入り、上信越道を経て佐久ICで一般道に降りる。
R141を南下し、県道68から入り込む。
この県道68迄は、中央高速須玉ICからのアプローチもある。
そちらの方が時間的にも早いようだ。
しかし、私は、上信越道の佐久ICからである。

途中、渋滞らしいものはなかったが、廻り目平に13時頃到着
これから金峰山を目指し、山小屋に泊まっても良い。
しかし、小屋まで3時間は掛かるとガイドブックにある。
未だ昼食を摂っていないため、めげてしまった。
結果、本日は車で大弛峠まで行き、又、降りてくる事にする。
今日は、北奥千丈と国師ヶ岳を済ます。
取り急ぎ、大弛峠を目指し車を走らせ、14時に到着。

14:06 急いで身支度し、出発する。
未だ食べてなかった昼食のおにぎりを口にくわえて。
大した登りではないのだが、歩きながらの食事はきつかった。
息が切れ、おにぎりが喉につかえそうになる。
やっとの思いで2個のおにぎりをたいらげる。
14:16 夢の庭園に寄ってみた。此処は2度目である。
以前、家内と末娘と3人で来たことがある。
14:36 峠から20分ほどで前国師ヶ岳に到着。
14:44 それから北奥千丈岳には10分ほどで着いた。
荷物を置いて、南の奥千丈岳に行ってみる。
北奥千丈からは見えなかった富士山も此処からは見える。
今日は快晴で良く見える。
14:50 ユックリする間もなく、飛んで走って国師ヶ岳を目指す。
14:59 国師ヶ岳。富士山をバックに記念撮影。
先に来ていた中年夫婦の旦那さんに撮ってもらった。
聞けば今夜は、大弛小屋に泊まるとのこと。
喉の渇きを潤し、再び、急いで峠にとって返す。
15:30 大弛小屋。
小屋のおじさんを見かけ、スナップを撮ってもらった。
聞けば、今夜の宿泊が今年最後。後は年末だそうだ。
明日は、廻り目平〜金峰山を目指す行程の為、直ぐに車で下る。
廻り目平には村営の「金峰山荘」があり、今夜は此処に宿泊予定。

16:20 行ってみてビックリ!もう、閉まっていた。
なんと、11月20日、先週末までの営業で終了していた。
閉鎖期間は、4月19日迄だそうだ。
(これは困った。車中泊でもするか?)と、思いつつ
何台かの車が駐車しているので様子を伺ってみた。
夕暮れに差し掛かり、結構冷え込んでいる。
そんな中テント泊よろしく、オートキャンプに高じるファミリーが居た。
声を掛けてみると、此処でのキャンプは今夜が初体験らしい。
どれほど冷え込むのかは定かでない様子。
キャンプ場内のトイレも数カ所設置されている。
その中で、その家族の近く1カ所だけが使用できるそうだ。

(何処かに民宿でもないかな?)と思い、麓の集落に向かった。
集落に入り込むと、古びた民宿の看板があった。
車を止めて、尋ねてみると店仕舞いしていた。
「何処か営業してませんか?」と尋ねると、
今、降りてきた途中に、有るそうな?
(全然看板に気付かなかった!)と、思いつつ、来た道を戻る。
教えてもらった通りに尋ねてみると、有った。「岩根山荘」。

この山荘?は、未だ真新しくて綺麗。場所も麓で旅館の感じだ。
外観は、アルペンホテル風だ。
玄関から声を掛けると、人の良さそうなオジサンが出てきた。
「大丈夫、泊まれますよ」と言ってくれた。
上がり込んで部屋に案内されて、勧められるままに風呂に入る。
他に宿泊客は少なそうで、10畳くらいの部屋に通された。
部屋には石油ストーブもあって、暖かくして過ごせる。
テレビも有って快適。冷蔵庫は無いが、部屋も綺麗で快適。

夕食は、6時から食べられるので行ってみると仲々のご馳走。
ビールを頼もうとすると自動販売機を勧められた。
ビールを飲みながら食事をユックリ摂った。
他の客は、中年夫婦とその女友達の3人連れの一組だけだった。
ビールが無くなって、お酒の熱燗を頼んだ。
この辺りの地酒らしいが美味かった。
ほろ酔い気分で部屋に戻ろうとして、追加のお酒を頼んだ。
今度は冷やしてもらって、部屋まで届けてもらう。

部屋でお酒を待っていると、冷酒用の立派な入れ物で届いた。
一寸したツマミも一緒に届けてくれた。感謝。
テレビを見ながら美味い酒を飲んでいると、ユックリできた。
こんな風に、季節外れの中で一人宿を取る、贅沢を感じる。
今一度、風呂に行き、酔った体をユックリと湯船に浮かべる。
ウトウトしながら、何とも極楽と、実感する。
なんだかんだ言っても一人で過ごすので、程なくご就寝。
日頃の寝不足も、一挙に解消されそうだ。
早寝早起きの山行を定期的に繰り返せば、リフレッシュされそうだ。

始め、朝食は、7時からと頼んだが、初の金峰山で少し早く出発したい。
「何時でも対応しますよ!希望の時間を言ってください!」
との頼もしい申し出。それではと、6時に繰り上げてもらった。
約束の6時には身支度を済ませて、食堂に向かった。
朝からなかなかのメニューである。
頼んでいたお昼のおにぎりも用意してくれている。
珈琲もセルフで好きなだけ飲める。温かい味噌汁で元気になる。
今日も快晴の様子。「頑張るぞ!」

さて、出発の準備を整えてお礼を言って、スナップを撮らせてもらった。
ご主人と人の良いおじさん。ご主人から名刺を頂いた。
「代表取締役 上田弘」株式会社 岩根山荘。
E−MAILも有ればホームページもある。
必ずスナップを届けると約束しながら見送ってもらう。
昨夜は、陽が落ちて良く見えなかった建物も立派である。
(今度はカミさんとユックリ来たい。キット来るんだ!)

車で少し行くと廻り目平キャンプ場に着く。
適当な所に駐車し、最後の身支度をする。
このキャンプ場からロッククライミングする小川山?が直ぐに見える。
巻くようにしてハイキングコースも有るようだ。

07:18 出発。キャンプ場を真っ直ぐに抜けて進むとゲートがある。
一般車進入禁止のゲートで、やがて左手に沢が見えてくる。
林道は整備されて広く、歩きやすい。
08:00 林道が突然無くなり行く手を失った。崩れたのか?
対岸に迂回するはずなのか?橋が無くなっているのか?
取りあえず進むと50m程、林道はなくなっていた。
その50Mは、川べりに岩が積み上がっただけだ。
岩にペンキマークを発見。ルートらしき物を無事に見つける?
この50m程の区間を越えると、又、整備された林道になる。
08:10 中の沢出合い。途中で追い越した2人連れがいた。
その2人が、程なく追いつき、スナップを撮りアイッコする。
此処から、丸太の橋を渡って、林道とはオサラバする。
08:28 最後の水場。少しの間、沢伝いに進み最後の水場に着く。
この水場を過ぎると急勾配が、金峰山小屋まで続く感じだ。
アップダウンは殆ど無く、効率の良い登り。
北側斜面の為、天気は良いが陽が指さず、終始、日陰に近い状態。
08:46 中間点。行くも戻るも1時間とある中間点。
先週山の会メンバーと登った瑞牆山も見える。八ヶ岳も。
水分補給し、小休止。中の沢出合いの二人は、当分来ない様子。
09:27 金峰山小屋。此処にはガイドブックやヤマケイでお馴染みだ。
憧れの人「林綾子」さんの居る小屋だ。何がなんでも小休止有るのみ。
声を掛けて、山頂で頂くビールをGET!
つれなく「其処の箱にお金入れといて!」と、言われた。
只それダケだった。
09:36 気を取り直して小屋を出発。山頂まで20分。

09:55 金峰山(2,599M)。2つの標識があり2,598mとあった。
秋晴れの午前。澄み切った周囲に抜群の展望が拡がる。
瑞牆も見え、手前にあの「五丈岩」が直ぐ有る!
昨日行った(登ったとは言えない)奥千丈岳も見え、手前に朝日岳が見える。
(いつか朝日岳もやってしまおう。)
五丈岩に挨拶しに行く。鳥居がある。一応参拝(山行無事を祈念)。
早いが昼食にする。五丈岩の南面に吹き溜まりの様な場所があった。
北風を遮り、陽当たりが良く、富士山が正面に見える場所があった。
そこで、ビールを頂き一人乾杯する。
富士山を目の前にし、ビールを頂きおにぎりを頬ばった。
こうしていると、何とも幸せな気分に満たされてきた。
フッと、少し吹いていた風が、しばらくの間、止んだ。
気が付くと、一切の音が消えていた。時間が留まった。
此処で一人。超自然的な現象に遭遇し、感激する。
(時間が止まっている。)
自分だけに与えられたような独り占めしている幸福感。「来て良かった!」
暫し夢心地で幸福に浸っていた。

下山ルートは、朝日岳を経由し大弛峠から車道を降りるルートがある。
此は、綾子女史に尋ねたら結構時間が掛かるそうで、却下。
千代ノ吹上に降りて金峰山小屋への巻き道から小屋に戻れる。
小屋経由で、登って来たルートで降りる事にした。
10:30 名残惜しいが、金峰山・五丈岩に別れを告げる。
千代ノ吹上までは、瑞牆山荘からの登山ルートの一部である。
北風の強い時は、危険であるらしいルートを、上天気に恵まれ快適に進む。

とにかく展望が抜群!ついつい、カメラに手がゆき、スナップを撮ってしまう。
振り返りながら、金峰・五丈にも熱い視線を、何度も送ってしまう。
八ヶ岳が特に綺麗。何とも神々しく映る。
北岳・鳳凰三山・甲斐駒ヶ岳も屏風の様にそそり立っている。
北アルプスも遠いが、すっかり冬山に化粧している。
小屋への巻き道との分岐手前から、大きな岩が増えてきた。
下りはそうでもないが、登りは結構きつそうだ。
10:57 分岐。尾根伝いの好展望とも、いよいよお別れ。

11:10 金峰山小屋。小休止しながら、思い切って尋ねる。
「アノォー。失礼ですが、林綾子さんですか?」
「そうですよ!」 (やった感激!)
「済みません。写真撮らせてもらって良いですか?」
「良いですけど。こんな所で良いんですか?」
聞けば、旦那さんは立山に早々とスキーに出掛けたそうな。
小屋は、今日締めてそのまま下山するそうだ。
最後の片付けに大忙しだったのだ。
綾子さんは、とても気さくでキュートであったが、力持ちでもあった。

11:16 小屋出発。
11:40 中間点。
12:02 中の沢出合い。
12:53 廻り目平キャンプ場到着。
小屋から中の沢出合いまでは樹林の中で、展望もなく単調だ。
唯一、中間点で八ヶ岳・瑞牆の展望に望めるのみ。
中の沢出合いの丸太橋近くで、川の水が流木に当たる箇所で大発見。
なんと、氷の固まりが出来ているのだ。(冷たそう)
触りはしなかったが、水は相当、冷たそうだ。
下山道の途中にも、所々に凄い霜が有り、バリバリでなくゴチゴチだった。
中の沢出合いからの下りは、途中の50m以外は、整備された林道で快適だ。
朝の出発時、日陰だった所も、陽が指し、ポカポカする陽気になっていた。
登りではそんなに気付かなかったが、沢向こうの山容は、圧巻であった。
とても一般ルートは無いようで、地図上にも、その険しい尾根は記入がない。
(あんな所を登る人が居るんだろうか?)
何度か川に氷の固まりを見つけた。
ロッククライマー用のピトンやアンカーの有る、高さ30m程の岩も見つけた。
この辺りは、クライマーが多く足を運ぶのだろう。
(今回は、見かけなかったが・・・。)

さて、年が明け21世紀になれば積雪期に金峰山を訪れる予定である。
今回の金峰は、その為の下見山行であった。
好天に恵まれ、宿泊所にも恵まれ、贅沢な山行であった。
これらを必ず、雪山初金峰山に繋げると誓う。